2017年2月20日月曜日

料理三昧……冬休み雑文集②

この2週間は早すぎる冬休みだったことは前回書きましたっけ。

フランスの学校、6週間置きに2週間の学校休みというリズムでさえトゥーマッチなのに、今回はノエル明けから4週間で2週間の冬休みが来ましたからね。

フランスは休みが多い分、学期中の学習量が多いわけで、明日からまた毎日「これを暗記」「あれを暗記」という宿題の日々が始まることでしょう。

宿題と言いましたが、実は、フランスの小学校は「宿題」は出してはいけないことが国レベルで決まっています。なので、例えば「算数のドリルを何ページ」といった、いわゆる「書く宿題」は出せない。

そこで「地理の○×のページを学んでくること」「算数の○×の定義を暗記すること」を「提案」するという手を使わざるを得なく、先生たちも大変そうです。

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それはそれとして、冬休み。
先週はサルト地方にある、義理の両親のメゾン・ドゥ・カンパーニュにお邪魔しておりました。
今回は義母がパリに残らなくてはならず、義父、私達、そして義妹の子供たちという、大人3名に子供5名で過ごすことになりました。

冬休み中に、ちび猿と同じ日に生まれた姪っ子の
ジョイント・プレ・バースデーパーティもしました。
チビ猿はキャラメル味、姪はチョコレート味を所望するので
スポンジはそのようにしました。
クリームは泡立ちが弱かったので、ミルクチョコガナッシュに変身。
このメンバーで料理ができるのは私だけですからね。作りましたよ~。
牛2キロ使ってブッフブギ二ヨン、スペアリブは80本、鶏2羽のブランケット、餃子は皮から80個、牛乳1ℓのベシャメル使ってラザーニヤ、ポテトのピュレー1キロ使ったアッシパルマンティエ、ケーキ2つにタルト2つ、あとは何だろう。

何しろ育ち盛りの子供が5人(うち男子4人)が、2時間おきに、お腹空いた、お腹空いたとコーラスしていましたからね、写真を撮り損ねたのが殆どですが、こんな感じでした、
ケーキから先に行くと、これは最近の人気者、
レモン・グレーズ・ケーキ
焼き上がったパウンドケーキに、
レモンとお砂糖を混ぜたシロップを
たっぷりと染みこませるのです。
これ、いつ撮った写真だろう。まあ、こういうタルトオポムも作りました。
これも、リンゴのタルト。探しているのはクランブルの写真なんだけど。
これは、このあと田舎で夏に採れた
桃のコンポートを乗せて頂きました

ブッフフブギニヨンの残りにローストビーフの残りを加えた
アッシ・パルマンティエ、aka シェパーズパイ
重たい重たい。
ある夜は子供たちと一緒に餃子ワークショップを。
皮から作った80コ。5分で消えちゃいました
義父と姪甥にとっては初めての手作り餃子でしたが
気に入って頂けてよかった!
最後の夜は、残り物を温め直してのブッフェ。
沢山作ったのをきれいに食べてもらえてコンプリート感一杯。
どれも失敗することなく、皆さんに喜んで頂けて、感無量でした。
いい子ぶっているのではなく、本当に、疲れよりも喜びの方が勝っています。
私の料理はいい加減ですから失敗するときもあるのに、今回は全て首尾良く運んだことにとにかく感謝です。

料理は、誰かのために作ると楽しいけれど、自分の食事だといい加減になってしまう。
明日からの一人ランチ、「脱・残飯処理ランチ」しなくちゃね。
一見すると冬枯れの森も、みずみずしさが戻っていて
もうすぐ春ですね。
明日からの一週間、頑張らなくちゃだわ。
皆様も、どうぞご自愛を~。

2017年2月19日日曜日

生きた証……冬休み雑文集①

サルト地方に行っていました
例年通り、2017年の暦もアクセル一杯の勢いで捲られていっています。
この前クリスマスだったのに、ここベルサイユでも、春の匂いが 冷たい風に混じっている。
あと10日ほどすると3月ですよ。早すぎませんか?

最近はというと、実はもう冬休みだったのです。
新学期が始まったのが1月3日で、1か月後にまた2週間の学校休み。
フランス本土を3ゾーンに分け、雪山に向かう人々の交通の混雑を懐柔すべくスライド式に休みに入れるためとは言え、なんともバカげた学校休みのリズムで、フランスの教育システムに対して はてなマークが増える一方です。

冬休み中は、本を読んでは「これ書きたい」、料理を作っては「これ書きたい」、兄猿のバカ騒ぎにうんざりしては「これも書きたい」と、ブログを書きたいと思った瞬間が何度もあったのですが、時間が取れずにいました。

そこで、「冬休み中ふと思ったことシリーズ」をちょこちょこ書いてみたいと思います。
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まずは、この大それたタイトル、「生きた証」。

何のことはない、テレビシリーズを見ていて思ったことです。

わが家はテレビがないのですが、代わりに、夜、子猿たちがベッドに入ったあと、夫とユーチューブで好みのドラマを拾って見るのが息抜きです。

テレビを観なくなってもう30年近い二人ですから、サーチするドラマも、「そういえば、子供のころ、これが好きだった」みたいなところから始まり、そうすると、昨今のアルゴリズムの素晴らしさで、似たようなドラマをサジェストしてくれる。

Inspector Morse, Inspector Barnaby, Father Brown, Sherlock Holmes(Jeremy Brettのバージョン)、Poirot(David Suchetのバージョン)、Foyle's War, Perry Mason、etc., etc...
80年代~のドラマです。

年寄り臭いことをいうようですが、昔のドラマはいい!
プロットを急がずに、人物描写も丁寧で、背景も時代考証もコンピューターグラフィックスに頼らずに現物で作られているし、
多くは、エビソードを前辦後編に分けた2時間枠……何もかもが贅沢なのです。

今のドラマも時折試みますが、45分そこらで起承転結。まるでゲームのようで、夜遅く、疲れた頭で観るには展開が早過ぎてアラフィフ夫婦はついて行けません。

ディビッド・スシェのポアロに勝る役者はいないと思うと同時に、
ヘイスティングスも、この役者さんでなくてはだめ。
結果、古いドラマばかり観ているのですが、色々な発見があるものです。
今は高齢の俳優がまだ若い姿で登場したり、また、既に亡き人となっている俳優さんも出てくる。そして時には昔どこかで観た名も知らぬ脇役と再会することもある。

どこかで見た顔…。
例えばこの俳優さん。
6百万ドルの男やバイオニック・ジェミーに
出ていた。先日みたドラマでは犯人役でした
また、シーズン1から見始め、シーズン8まで続くようなドラマだと、俳優さんたちが少しずつ年とっていく様子に、早送りでお付き合いすることになる。放映中のドラマだと、週に一回お目に掛かるところを、一度見始めると、毎晩一エピソードを見ますから早いのです。

こんな見方をしていると、会ったこともない俳優さんたちが旧知の友達のように感じられ、また、80年代なんて私にとっては昨日のことのようなのに、気づくと何十年と過ぎていたという、この大河がごとき時の流れを痛感させられることがあります。

そうすると、今、過ぎゆく年月に敏感になり始めた年頃の私ゆえに、しみじみするものを感じるのです。

人生って何なんだろう。
きっと、この俳優さんは、この役柄を獲得したときは興奮しただろうな。
そして、これがドンぴしゃりのはまり役としてオーディエンスからも愛されるようになったときは、お金も沢山もらって、役者としてもノリノリだったんだろうな。
でも、それにも終わりがきて、ドラマが打ち切りになったり、自身が病気で倒れたりする。
脇役の人も、主役の人も、きっと若いときは、パンをかじりながら、銀幕に上ることを夢見て、その夢が叶い、興奮も陶酔もあっただろうけれど、時が来ると幕が引かれ、人生の終わりとなる。
そして、しばらくは覚えられているけれど、時には私達のような気紛れな聴衆に見つけられて観てもらえるけれど、これも何十年かすれば、完全に忘れられてしまう。

悲しいけれど、これが人生なんだね。
すっごい不幸も、羨ましいような幸福も、どうってことない。
なんだかんだ自分の中では大騒ぎだけれど、大きな時のうねりの中で見れば、花が咲いて枯れて死ぬ、というのと同じ。
そして風が吹けば、埃となって、その存在は完全に忘れられる。
ちょっと空しい。

……と同時に、また別の事実があることも知っている。
きっと、この俳優さんたちは何らかの形で、誰かに影響を与えているはず。
願わくばプラス、もしかしたらネガティブの影響を与えていて、とっても小さい波紋として、どこかで誰かの記憶に残っている。
それが誰かの、何かの行動や形に影響を与えている。
そういうものだと思う。
見えない、無形のものだけど、これが生きた証。
だから、空しいのも本当だけど、暗くなってはいけない。
いいじゃん、いいじゃん、それで十分!

な~んてね。テレビドラマ観ながら何となく思ったことを文字にしたら大げさになっちゃいましたね!

また明日にでも、別のトピックで書きます。

残りの週末を楽しまれますように!






2017年2月3日金曜日

ベルサイユ便り...Je ♡ Versaillesの巻


ベルサイユ宮殿の運河
横浜を発ち、ベルサイユに越してきて、ちょうど6か月経ちました。
こう書きながら、まだ6か月なのか、と驚いています。もっと長いことここに住んでいる気がする。

日本いたのは、たった2年と2か月。
その短さのせいか、そして夢のような日々だったせいか、「あの2年余りは、実は本当に夢だったのかも」と、時折変なことを考えます。
まだ2年2か月という、中途半端な時の重みが実感できないのです
アイ♡横浜
最終日、横浜ニューグランドから撮影
さて、ベルサイユ。
越してくる前は、「ヴェルサイユの人は上から目線だよ~、コンサバだよ~」と聞いていたのですが、あまり気になりません。というか、そういうキャラも面白いじゃありませんか。

私が気に入っているところは、緑が多く、街並みが美しく、そしてとっても田舎っぽいところ。

ヴェルサイユ、ウィキペディアによると、「ヴェルサイユ宮殿世界遺産)の所在地として有名である。パリから約20km南西に位置し、パリ中心部からは普通電車で最短約17フランスの首都圏の一角を占める。」
・・・・・・これ程パリに近接した立派な街なのに、人々のメンタリティーがとっても田舎しているという。
気取りがなく、気負いもなく、率直に好奇心を見せ、優しさも直球で投げてくれます。

皆さんは、Midsomers Murder (邦題は「バーナビー警部」)など、ご存じないですよね。イギリスの片田舎で起こる殺人事件(それも毎回3人は殺されるという)を熟練警部バーナビーが解決するテレビシリーズです。
もしこれをご存じなければ、アガサ・クリスティーのミス・マープルを連想して下さい。ミス・マープルも、セント・メアリ・ミード村というイギリスの田舎に住み、鋭い推理で事件を解決します。
私はこのJoan Hicksonが演じたバージョンが一番好きです。

しつこく、もう一つお気に入りのTVシリーズ。
Father Brown もイギリスの田舎が舞台
ヴェルサイユ村では、殺人こそ起きませんが(あったら困る)、このドラマの田舎町のように、活動的なコミュニティーが沢山あります。


兄猿の版画
ドラゴンを描いたようです。
先日は、兄猿が通う美術教室のパーティがあり、顔を出しました。よく事情がわからずに、「きっと子供たちの絵が飾ってあって、それを見てジュースとかワインを紙コップで飲んで、ポテトチップスをつまんで、先生にご挨拶して帰る」というイメージで行ったら、全く違いました。

まず、人。
この美術教室は、この地区の行政が運営していて、近隣の絵が好きな老若男女が集って作品を作っていることをこの日知りました。
このパーティも80%は白髪の紳士・淑女たち。皆さん明るい笑顔でエレガントで素敵なこと!


ピアノも置いて在って
どうぞご自由に感性のままに
弾いて下さい、とあるあたり、
さすがアート教室なのです。

そして紙コップにチップスという連想も間違いでした。
ワインはグラスで、テーブルには、見事なハンドメイドのフィンガーフードがズラリ、ズラリと並ぶ。そして、これぞフランスのベテラン・マダムの実力。どれもこれも、実に美味しいこと!

そして、作品。
誰も見ていない!!マチネのギャラリーに飾ってあるけれど、100人は集っていると思われる村民たちは、皆グラス片手におしゃべり・笑い、マチネに上る気ゼロです。先生に挨拶? そんなチャンスないです。先生もおしゃべりにワインにおつまみに、と大忙しですもの。こういうゆるい感じ、すごく好き。

七三の白髪頭に蝶ネクタイの教室長によるスピーチも、茶々を入れる声にめげないところも、即興ピアノも、何もかもが、絵に描いたビレッジライフ、という感じで、私もすっかり楽しい気持ちになりました。

この美術教室は一例で、その他にも教会の集い、音楽学校の集い、図書館での本修理のボランティアの集い、そして、カルチャー・センターでは劇やらオペラやら色々催しものがあり、田舎生活は忙しいこと!
そして、何がよいかというと、どれも敷居が低いことです。
フランス語が下手な私でも、参加すると両手を広げて歓迎してくれますし、オペラのチケットなども気軽に買える。(でも満席だったりする!)

それら集いで皆さんがおしゃべりをしているのに耳を傾けると、皆さん、結構個人的な話をしていたりします。
「父が亡くなって一週間だというのに、兄は既に欲しい家具を全部持ち出したの」「まあ!」「それなのに、遺産分けに不満を言っててね、私、不眠気味で」とか。
聞いちゃ悪いかと思っていると、突然、
「みき、アナタ、東洋医学とかで不眠治す方法知らない?」
と、話題を振ってきたりする。私もついつい
「いやぁ、漢方は知らないのですが、アロマ療法はどうでしょう、オレンジの香りが良いと聞きます(merci, AK!)
など答えたりして。
ベルサイユは教会も多く、
鐘の音が街を響き渡るところも好き
こういうコミュニティーがあるのって、とっても良いと思いませんか。
定期的に集う機会があって、そこで、心許して自分の話ができるようなコミュニティーがある。もちろん、そんな話しなくても良くて、自分が楽しいと思えるアクティビティをする場があり、その時間や空間を共有できる仲間がいる、そして皆近くに住んでいる。

パリに住んでいるときは、こういう地域のコミュニティーに属する機会がなかったけれど、これは田舎ならでは、そして死んでいない田舎、活発な田舎ならでは、と思っています。
町内会とは違うのです。
もっと「楽しいから繋がっている」という、プロアクティブな気持ちが集まっているコミュニティーなのです。

家族がいて子育てに忙しい今でもそうですが、20年、30年経ったときに、こういうコミュニティに属していたら、きっとすごく安心感を与えられるだろうな、と思います。

誰かと関わりながら暮らすというのは、なんて温かいことなんだろう。
そんなことを実感する日々です。

ベルサイユ、パリ地方は、明日から冬休みに入ります。
皆様、どうぞよい週末をお迎え下さいね!