2016年5月23日月曜日

どんどん夢を見よう!

奈良にも行きました。春日大社の藤。©etranger
皆様、長らくご無沙汰しております。
元気にしておりましたが、唯々日が経つのが早くて……。

いつから書いていないんだろう……前回は4月11日にアップしたのですね。
4月後半以降を思い返すと、子猿の学校のイベント、フランスからの友人夫婦の来訪、大学の園遊会、教会のピクニック、友人らとの「帰国前に会っておこう」食事会、エトセトラ、エトセトラな日々でした。

その間は、小さな試練が続きました。って、過去形ではなく、まだ続いているのかな。
フランスに帰国するって大変です。日本に来るときのスムーズさとは「ま逆」。

まず、何より、モティベーションが低いです。横浜、日本、離れがたい!!
約20年ぶりに住む日本は、きれいになっていて、住みやすい国になっていました。以前は東京に住んでいて、今回は横浜だからそう思うのかもしれませんが、とにかく、過密した国なのに、良くファンクションしている、と思います。
そんな後ろ髪引かれる中の日本出発準備は、心にはっぱかけないと腰が上がりません。

帰国準備の大変な例、その①。
子供たちの新しい学校への登録。
兄猿は、日本だとまだ小5なのですが、フランスのシステムだと、9月からは中学生、チビ猿は小4となります。
二人とも私立に行かせるのですが、フランスの学校は、日本と違ってお受験はなし(また授業料もずっと低い)です。よほど問題児でない限り、諸書類Dossiersを期限内に提出すればOKなのです。
が、このDossiers……
ただでさえ、揃えるのが面倒なドシエですが、そもそもフランスの学校からフランスの学校への転校、入学を前提にしている。少しでも形態が異なり、ましてや言語が異なると、ちゃんと見てもらえないことを学びました。

「そういえば、フランスの学校から返事がないなぁ」
と気づいたのは、提出してから3カ月過ぎた頃。何も言われていないし、大丈夫だろうけど、念のため、と軽く、確認するくらいのノリで問い合わせたのです。
すると、
「書類不備だから審査不可能!」
と一言。というか、そう書いたメモが貼ってある兄猿のドシエの束の写真が添付してあるだけ。無礼というか暴力的とでもいうか。
そのメールを見たときは、胃が一ねじりしました。
「だったら言ってよ~、対処したのに!!」です。

でも、こんなフランスでも良いところはある。
もうとうの昔に期限は過ぎていたのですが、期限などは、ごねる(?説明すれば、というべきですね)と何とかなる。
で、何とかなりそうです、兄猿の学校。
そう勝手に信じることにしました。
この儚げな紫ピンクの藤、フランスでも見つかるかしら。©etranger
そしてフランスでの住処探し。
帰国にあたり、もっと緑が多い郊外に引っ越しを考えています。都落ち作戦なのです。
そのために、パリのアパートをどうするか、引っ越し先はどうするか、賃貸か購入か、不動産エージェントはああいうし、義理の家族はこういうし、税上はどうするのが得策なのか……数日ごとに新しい展開があり、そのたびに振り回されております。夫などは突然「今週、下見にパリまで行ってきてくれないか」とか無理なこというし、です。出張のノリでいうのでしょうが、主婦は24時間シフトですからそんな簡単には動けませんって。

最後に夫の仕事。
海外赴任が多い職種で、当初から提案があった都市は7カ所。何大陸に渡ったことでしょう。その都度、「このポストはいいね」「ここは、子供の教育的にどうなんだろう」「ここに行けたら良いね」「よく聞くともっと若い人向けのポストだった」「このプロジェクトだと半年ごとに都市を移らなくてはならない」などなど、結局は思い通りに話しが進まず、上手く行かないのですよ。
そして新しい可能性が浮上するたびに私の胃はねじれにねじれ、ツイストドーナツ状態でした。
結局は、フランスに戻ることになり、少し落ち着きました。

私も心の振り子がブンブンと振り回され、クタクタだったのですが、一家の大黒柱な上、繊細な心を持つ夫はもっとそう。彼のストレスが気になるので、毎朝何が何でも、低速回転ジューサーで絞り出した抗体アップジュースを飲ませています。
々な人に勧めていて、回し者と疑われている私ですが、
この圧搾型ジューサーで絞るジュースは
本当に身体に染み渡るおいしさなのです。

慎重で、安定志向の夫率いるわが家ですから、最近までは先行きの不透明さに、神経衰弱気味だったのでした。それが、先週あたりから、夫婦揃って免疫がついてきたように感じられます。

例えば私などは、少し前までは、「こうなったらいいな」と期待しないように、心を制しながら暮らし、でもやっぱりどこかで期待してしまうから、
思うようにならないと、がっかり、どよ~ん、としてしまって、それをビールなどを飲んで、気晴らしをしていました。飲みたくないときのビールは美味しくないものですね。だったら飲まなければいいって? ホントそう。

夫は、結構長い時間かけて、ものを考え、消化する人なので、思い通りに事が進まないことが立て続けに起こり、いつも何か考え事をしているようでした。


クレマチスという洋名より、テッセンという和名の方が好き。
特にこの紫のテッセンは和の美!って感じで憧れます
それが、先週初めに、またドカンと思い通りにならないことが発生したときに、あれ、夫も私も変わっな、と気づきました。

まず夫は立ち直りが早くなりました。もともとネアカな一面を持つ人ですが、こう毎回ズドンと何か来るので、落ち込んだり、ショックの余韻に浸っている期間が短くなったように感じます。今回も一夜明けると気持ちの切り替えが済んでいた感じです。

私は、前みたいな「がっかりしないよう、期待するのをやめよう」というケチ臭さが抜けてきて、
どんどん期待しよう、妄想でもいい、夢みよう、と思うようになりました。
夢破れたときの、期待外れだったときの落ち込みも、結構いいじゃない、と気づいたのです。
そういうときこそ、気持ちが繊細になるというか、敏感になるというか、今まで見えていなかったものが見えてくる。
そして、そういうとき、自分にとって大切なものが見えてくる。そんな大切なものたちを思い浮かべると、ゆらゆら揺れていた心が落ち着くのを感じます。
そんな心の変化、本当の自分を見つけることができるのも、落ち込みの、大げさに言えば哀しみのお陰です。

だから、かわいい子には旅をさせよ、とか、打たれ強くなる、とかって本当なんだなぁ、と今更ながら、古人の知恵に敬礼しています。

これっぽっちの小さな試練ですが、いい経験をしている、少し強くなっている、そんな気がする今日この頃なのです。

さて、ここから6月第二週までは、兄猿の誕生日、そして小学部卒業式、また、今の学校にずっといたいチビ猿の学校最後の日、などおセンチになりそうな日々が続きます。よって次回の更新が遅くなるかもしれません。

皆様、次回お目に掛かるまで、どうぞお元気でお過ごしくださいませ。
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「フランス貴族に嫁いでみたら」というコラムを載せて頂いています。
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何卒ごひいきに、お願いいたしますです。