2015年5月25日月曜日

笑顔の意味


もう随分前のことになりますが、学校から子猿たちを引き連れて帰ってくる途中、チビ猿の担任の先生と一緒になりました。

この先生、とっても良い先生で、日本の暦だったら小学校1年生から2年生にあたる子供たちに接するに適した、ケジメはあるものの概してユーモラスな接し方をして下さります。先生の背が高いこともあり、少しセサミストリートのビッグバードみたいな方です。

ビッグバード先生は、いつものようにチビ猿に可笑しい話をします。私の中では「チビ猿、先生のいってること分かるんだろうか。たとえ分かったとしても、英語で応対できないのではないか」とちょっとヒヤヒヤ。
チビ猿は、なんて言うのでしょう、ちょっと生意気なウィットに富んだ(彼の中では、ですが)返答をするのが好きで、「Yes/No」だけで済ませない、ちょっと関西人(ちがうか?)ッぽいヤツなのです。ちょうとその少し前に、「言いたいことが言えなくてストレス感じている気がする」と英語アシスタントの先生から言われていました。
「僕が何をしたって言うんだよ」
このときも、結局言いたいことが言えないので、言葉は発しませんでしたが、先生のジョークは分かったので、「ゲラゲラ」と笑って反応しました。気を遣っているというか、「可笑しいのは分かってるんだよ、でも気の利いた返しができないだけなんだよ」というのを体現した「ゲラゲラ」だったのです。

このとき、私としては、ちび猿頭いい!と感心(はい、親ばかです)しました。
言葉ができないのなら、ジェスチャーで伝えればいい、笑いで伝えればいい、学んだんだ、ちび猿。
エライ!

そして、こんな不自然なゲラゲラをするちび猿に、「いいんだよ、そんな変な笑い方しなくて。子供なんだから、そんな小賢しい知恵使わなくて」とも思いました。何だか、この子も社会の中で気を遣っているんだな、と痛々しく感じたのです。

おどけるようになった最近の兄猿
怒られるよね、この写真載せたのばれたら…
昔、高校生だったころ、クラスメートの男の子でどちらかと言えば静か、話すときはとつとつと、あまりバカふざけをしないコがいて、何かをきっかけに少し仲良くなりました。きっと席替えで近くになることが重なった、とか、そんなことだったと思います。どうでもいいような会話をしたり、多少は一緒い笑ったこともあったと思うのですが、きっと、ふふん、と笑う程度のことだったのだと思います。
それが、あるとき、よほど可笑しいことがあったのでしょう、その男の子が大笑いしたのです。
その顔にぎょっとしたこと!
なんというのでしょう、引きつった顔しながらバカ笑いしている。今記憶の中でその破顔を分析すると、口は大笑いなんだけど、目をそこまで笑っていないというか、ぎくしゃくした笑い顔なのです。
その子のことをそんなに知らなかったけれど、家庭が割と大変なことを聞いたなぁ、とかそんなことを思わせる笑顔でした。

そんなこともあって、私は笑うときは色々考えずに笑おう、銀歯が見えてもいいから、気にせずに笑おう。そして、そう笑えなくなったときは、きっと何かまずいことになっていると認識して注意しよう、と思ったし、
結婚は、良い笑顔を作れる人としよう、とすごく先のことも考え、
子供が生まれたときは、その笑顔をみて、「いつまでも、こういう自然な笑顔を作れるように育ててあげよう」
と思っていました。

今朝、なんでそんなことを思い出したのか、ワカリマセンが、とにかく、そんなことがあったなぁ、というそれだけです。

月曜日、皆様もまた忙しい一週間でしょうかね。
頑張りましょう!

2015年5月20日水曜日

刑務所に行ってきました!

昨日は実に希有な体験をしたのでちょっとシェアをしたいと思います。
生まれて初めて(そして最後であって欲しい)刑務所を訪れたのです。

教会の慈善活動の一環として、日本の刑務所に収容されているフランス人服役者と話をする、というのをやっているフランス人の知人から頼まれて、の訪問でした。フランス語の会話を日本語に通訳して警務員に伝えるというのが私の役目です。

正直言って、最初から気乗りしなかったのですが、この知人の熱意に圧されて行ってきました。気乗りしない理由は、

まず、そういうおどろおどろしい精神が集まっているところに行きたくない。ネガティブな「気」に私を侵略されたくない。

知人の言っていることに同調できない。
彼女は、服役者である「老人」が孤独で知らない言葉を話す国にて投獄されているのがかわいそう、かわいそう、という。
私は、「大人」なんだし、海外で犯罪を犯し捕まったらこういうことになる、ということを分かっているべきだ、と思うのです。

こんなに自己中で冷たい私がなぜ、こんな賛同できない慈善活動に付き合わなくちゃいけないの?と思いつつも、断り切れなくて行ってきたのです。とほほ。

さて、遠方はるばる日本の最大の刑務所というところの面会室に到着してみれば、「ネガティブな気」すら感じることできないような、簡素で消毒されきった建物です。

面会に来ている方々、数名とすれ違いましたが、皆さん、色々な、実に色々な背景から来ていることが一目瞭然です。

待合室、いかにも場慣れしている方たちのことは置いておいて、
小柄な身体にマスク姿の若い女性、誰が投獄されていて、どんな事情があったのだろう、と考えるだけで胸がちくっと痛みます。

年配のおばあさんは、泣き顔のような表情で缶コーヒーをすすり、待合い室のテレビから流れるワイドショーのしょうもないジョークに、泣き顔のままで笑みを浮かべます。長い人生を送っているうちに、気づいたら泣き顔のような顔になってしまったのでしょう。顔面マッサージでもして元に戻したくなる......。

私の横で、初めから興奮気味だった知人はますます落ち着きをなくし、ぶつぶつとお祈りを唱えるわ、「あ、鍵がない!」「ここにある(私)」、「担当官にああ言え、こう言え、これ訊いて」「必要に応じて訊く(私)}ともうメンドクサイ!

幸い、余り待つことなく、面会となりました。
知人より、散々「気の毒な」服役者のことを聞いていたから、よぼよぼのおじいさんが出てくるのかと思いきや、がっしりとした初老の男性です。フランスの街角によくある「何でも屋」をやっていそうな、ちょっと愛嬌があるけれど、おつりをしっかり確かめたくなるような、下世話なジョークとか言いそうな、そんな、どこにでもいそうなおじさんです。

でも、もちろん辛そう。始めから涙を流しながら、自分の苦境を話します。
彼の顔を見ると、私も胸が詰まるので見ないようにして、会話内容を警務員に伝えます。

早くフランスに戻りたい、自分はここで日々死につつある、と言います。
家族に会いたいと言います。
希望を持っていたフェーズは過ぎ、今は絶望の中にいる、と涙流します。
孫を抱きたいと言います。
子供たちに、母の日(フランスでは5月末)に、奥さんに薔薇の花を贈るように伝えて欲しい、と言います。
僕のために、神に祈ってほしい、と言います。

それを聞きながら、知人は、一生懸命励まし、希望の光を一緒に探そう、と言ってます。

そんな知人の優しさ、明るさに胸を打たれながら、
服役者に対しては、「このバカモノが!」という怒りと、どうしようもない同情が同時に湧き上がり、感情の渦です。

このバカ!こんなに「辛い辛い」というような状況を自ら作って、大馬鹿者。家族がどんなに悲しい思いをしているか。辛い辛いと自分のことしか言わないけれど、家族がどんな思いをしているか、考えたことあるのか。何をしたか知らないけれど、被害者のことを考えたことあるのか。
何が薔薇の花。何が絶望。ばかばか。

だけど、目の前にはしょぼくれたおっさんが涙を流している。その涙を見ちゃうとこっちだって辛い。

子供がグレかかったら、こういう情けないおっさんを見せてやったら効果高いと思う。
道を外したら、どんなことになるのか。自由を失うことというのがどういうことなのか。どれだけの人を悲しませることになるのか。あんな惨めなのみたら、いい加減に生きるのは止めよう、と思うと思う。

あのおっさんに、心の平安が訪れますように。



帰り道には、この服役者のために気持ちがどよーんとしている知人の気持ちを切り替えるべく、彼女の話、彼女との共通の知人の近況などに話題を振ります。

今まで、ちょっとした集まりでしか話したことがなかった彼女だけど、明るく、一直線なキャラな一方で、色々と苦労されているよう。
共通の知人らの話も、普段は楽しく歌歌ったり、勉強したりという付き合いでしたが、皆さん、色々、本当に色々な想いを抱えていることを聞き、何だか心がしーんとしました。
普段会う彼女らは、カルチャーオバサンとでもいうか、あれやこれやと学習欲旺盛、知的好奇心旺盛、楽しむことに貪欲な明るい方たちなのに......。

皆さんの苦労の大きさに、胸がずきずき痛むと同時に、そんな重荷を背負いつつ、人生を楽しもうとする不屈の精神力に大リスペクト、人間の底力にひれ伏したくなり。

大馬鹿で自分のことしか考えられない情けない罪人も人間なら、こんなに壮大なドラマを傷つきながらも生き抜いている彼女らも人間。

心の振り子がブンブン振れた帰途でした。

そんなかんなで、昨日は、怒り、悲しみ、感動とジェットコースターの一日で、昨夜は9時過ぎにバタンキューでした。

今日は休養日。外出の予定がない一日でほっと一息つけそうです。
皆さん、週の後半戦も頑張りましょう!
また行きます!

2015年5月15日金曜日

インターナショナル・スクール便り③ イベントが続いています


新緑が美しい季節となりました
ご無沙汰しております。
ゴールデンウィークが終わり、今はもうすぐ学年末を迎えるので、子猿たちの学校の行事が多く、加えて夏休みを前に最後の一人時間を堪能すべく、あちこちへ走り回っています。
…そうなのです、インターナショナルスクールは、なんと6月初旬には学年末となるのです。
早すぎますよね。

さてインターナショナルスクール、どんな行事があるかというと、
まず、4月29日はFood Fairなるものがありました。
2年生のチビ猿はポップコーン担当
各国が、ブースを立ち上げ、自国の食べ物、飲み物を売ります。
私はフランスセクションにタルトとキッシュを寄贈。
日本セクションには現金を寄付し、担当の方々が、それで、焼き鳥や炊き込みご飯などを作って販売して下さりました。
この売り上げは、学校に寄付されるとのこと。
ブラスバンドあり、ゲームあり、コンサートあり、出店もあり、と大盛況でした。
この日は帰ってから寝込んでしまいましたっけ。(メキシコブースで巨大なカクテルを飲み干した私がいけないんですけど!)


ゴールデン・ウィークの間、なぜかインターナショナル・スクールは平常運転でしたが、兄猿は6日は都近郊のインターナショナルスクールが合同で行う合唱大会に行ってましたっけ。
早朝にお弁当作って、学校まで送ってって、とまるでゴールデンウィークらしくないゴールデンウィークでした。
このお弁当作り、最近は週に2回くらいやっています。
学校にはカフェテリアがあって、そこで作られたメニューを食べてもいいし、家から持ってきたお弁当を食べても良い。

カフェテリア、実は今日初めて食べて来たのですが、結構素晴らしいメニューなのです
例えば今日はメキシカン。
サラダはタコサラダを含め3種類以上あったかな? 
メインにはチキン・ティンガ?(Tinga)という、鶏肉を裂いたものがたくさん入ったトマト風味のスパイシーなシチュー風のもの、あと空豆、その他3,4種の豆が入ったメキシコ風シチュー、コーンブレッド、ご飯、豆スープ、ジャガイモその他根菜の炒め煮みたいなの、飲み物付き。
すごくないですか?

これが子供は580円だったかと思います。大人は700円くらいかしらね。生徒各々がアカウント番号を持っていて、それにチャージされていくシステムなので、今日の食事が幾らか聞いてくるのを忘れました!

ある日は和食、ある日はインド風、ある日はピザ、と、日替わりで、放射能テストを済ませた食品を使ってバランス良い料理を出してくれています。シェフ一同「サラダはマストだぞう」「たくさん食べて」と生徒一人一人に心を配って下さるし、本当にありがたいです。

それなのに、なぜお弁当?
本当にねぇ。
でも他のお子さんたち、半分くらいはお弁当を持ってきているらしいのです。日本人のお宅は特にそうされているようで、それを見ているうちに、子猿たちもお弁当が欲しくなったらしい。

始めは面倒だなぁ、と思っていましたが、子猿たちが「ほら、全部食べたよ」と空っぽのお弁当箱を誇らしげに持って帰ってくるのが嬉しく、また、こんなことしてあげられるのも短い期間だしなぁ、と思ったら「お弁当作りイコール想い出作り」なのかなぁって。



いきなりスミマセン!遠足は「宇宙博物館」でしたが、
良い写真がないので、先日の満月を…
その他、兄猿の社会科見学の付き添いというものありました。
学年末に入り、クラスでどこかに行こう!ということでフィールド・トリップが、この誰もがもっとも忙しい中、組み込まれるのです。

この付き添いでは、普段は接する機会がない女子たちとたくさんおしゃべりできて、楽しかったこと!
女子は、男の子よりずっと大人で感心しました。男子がしょうもないことしてもたもたしていると、「ほら、もう行くよ」って引っ張ってあげたり、「ほら、鞄忘れているよ」と持ってきてあげたり、ふくれている子がいれば慰めてあげたり。
クラス全体としても、誰かがバカなことやっても、冷たい視線~って感じじゃないのがいいな、と思いました。
あんまりとげとげしてなくて、ほんと、穏やかで良い感じなのです。

フランスはもっと厳しいというかキツいというか。公立校はよりそうで、私立校は少しマシだけど、でもキツい。
子猿たちからよく聞いた言葉は、「あざ笑う se moquer」。これが、バカにするっていうよりもうちょっとキツく聞こえるのは私だけなのか。
兄猿は先日、ふと「フランスの学校より、ここの学校の方がみんな優しい。」って言うのを聞いて、やっぱりそうだったか、と思いました。

社会科見学、それにしても、インターの先生方の時間感覚が緩くって、笑っちゃいました。
博物館の方が、「○×時からロケットショーを開演しますので、15分前には集合して下さい」
と仰るから、そう通訳する。
すると先生方は生徒らに、「OK!では○×時にはここに集合!」
って..。
「いやぁ、少し前に集まった方がいいんじゃないですか?」
というと、館員の方も必死に、「うんうん」と頷かれている。
「うーん、そうだね。(生徒に)じゃ5分前に!」
だって。
でも実際には子供たちはそんなに簡単に時間通りに集まらない。トイレに行ったり、遊具から離れなかったり、水飲んだり。
でも、でもですね、何とかなるの、これが!
なんだかんだ、時間通りに全て進んだし。
そうか、いいんだ、これで!
と思いましたね。


我が家のコーラス隊
そして今日は学校でのコンサート、日本でいう、合奏合唱大会。
正直言うと、私の小学校時代より気合い入っていなかったかも。
練習もそんなに時間を費やしていないと思うし。

でも、皆かわいく緊張していて、あれで十分!と思いました。
小学校でやたら歌わされた「山の息吹♪」や合奏でやった鉄琴が、私という人間の情操に何か影響を与えたとはとても思えない。
なら、この程度で十分じゃないか、子供も親も楽しんだし、と思うのです。

インターのちょっと緩い感じが、私という緩い親、そしてそれに育てられた子供にはフィットしているのだと思います。

来週以降は、ちび猿が遠足2回あり、兄猿はロボット大会なるものがあり、あとはピアノの発表会、ちびっこ駅伝、お誕生日会、子猿たち揃ってのファースト・コミュニオン(初聖体拝領)、そして兄猿の10才の誕生日、その間には親たちの集まり、日本を発つ方々を送り出す会、PTA内のカルチャー・サークルの納会と笑っちゃうくらいたくさんの催し物が続きます。

またしばらくブログが更新されなくても、それは元気に走り回っているからだ、と思ってご安心下さいね。

でもまだ書きたいから、きっとすぐまた行きます!

みなさん季節の変わり目、ご自愛下さいね!