2014年2月14日金曜日

風邪の功名

日曜日に発熱して、翌日には落ち着いているだろうと思った風邪が思いのほか長く続いて、一昨日までは薬を飲まないと39℃近くになってしまう状態でしたが、ようやく回復の兆しが見えてきました。

先週ちび猿が拾ってきた風邪菌。日曜に私、昨日は兄猿が感染。夫は今日出張から戻ってきますが、家族と「一心同体な」メンタルな人、律儀に感染することでしょう。
主な症状は発熱と咳だけで、ガストロ(≒ノロ)ではないので洗濯苦から免れました。

昨日、水曜日は普段だったら午前中はピアノのお稽古、午後は日本語補習校、と慌ただしいのですが、風邪ということから全てお休みとなり、オマケに天気も悪いから、遠慮なくグータラして過ごすことができました。

そんな心のゆとりの効能。
① 朝8時頃まで寝た。
このことで随分回復が早まったと思います。

② 先日、ソウル経由で遊びに来てくれた有美ちゃんが持ってきてくれた金柑をマーマレードにしてみた!

参考にしたのはこの方のレシピ
出来上がりがかなり違うって?
そりゃ手抜きしましたからね。
Davidさんのレシピにはレモンを下ゆでするとあり、何故そうしなくちゃいけないのだろう、そして何故さらに1日置かなくちゃいけないの?ああ、メンドクサイ! と、下ゆでこそしたものの、すぐにその後の工程にはいったのですが、出来上がってからわかった。
金柑は皮が薄いから煮えやすいけれど、レモンの皮はお砂糖と一緒にどんなに煮ても、いつまでも張りのある皮のままなのです。
なので、もったいなかったけれど、お箸でレモンは全部取り出しました。
金柑の香しい香りと、柔らかくとろんとした皮のマーマレード。苦みも殆ど無いし、マーマレードギライの子供でも好きかな、と思って味見させたら、「Beurck!(マズイときの表現)」と言って口の中まで布巾で拭き取るチビ猿。
ヒドイですねぇ。

そうそう、金柑マーマレード、エトランゼ風はですね、

・金柑カフェオレボール一杯分
・砂糖 180g
・塩一つまみ
・オレンジの絞ったの、1つ分
・水1リットルくらい

これを全部混ぜて1時間ほど煮て、とろっとするまで煮詰まったらおしまい。
大切なことは、金柑の種を取り出しやすいように布巾などに包んで一緒に煮るのです。そうすると自然のぺクチンよりジャムっぽく固まる。
いい加減でしょ。オレンジのジュース入れない方が金柑の香りや味が引き立ったのかもしれません。でも果実味に富んで美味しいとも言えます。(なんでもポジティブにいかんとね)


③ 子猿たちが仲良くほのぼのと遊んでいた。
「お腹が空いた~」コールも薬が効鋳ている間は出てきて、こんな時には白いご飯と、これまた有美ちゃんが持ってきてくれた鮭フレークやカツオ昆布が大活躍。
「ママ、夜はこの丸ちゃんラーメンね」「あいよ」
我が家では、お茶椀でご飯を食べることが少ないので、この何だか日本的な構図が可笑しくて、ついパチリ。

④ 久しぶりに友達と長電話をした。
普段は分刻みで駆け回っていますからね、世のママさん達。こんな時くらいしか、長話ができません。

⑤ お酒を飲まなかった!
休肝日を中々もうけられないのですが、風邪のお蔭でバッチリ、ノンアルコールな4日を過ごしました。今日も飲みたいと思わない(18時現在)なので、いい感じです。たまにはそうしないと、内臓が可哀そうですよね、本当に。

それにしても、子供たちの回復力の速さに比べ、のっそりのっそりと立ち直っていく母猿…… 歳ってやつですよね。

それでも今朝から平熱に戻りました。熱出している間はそう外見に出ず、汗掻くからいつもより、スッキリしているかも、とひそかに喜んでいたのが、今日あたりから情けないやつれたバアサン顔になっています。この時差も「歳」って感じ、神妙に受け止めます、ハイ。

日本はもう金曜日ですね。
週末はまた大雪になるとか。
どうぞ転ばないよう、そして風邪など召しませぬようご自愛くださいね。
そしてその他の国のみなさん、明日は金曜日、そしたら週末!がんばりましょう!!

久々にアップされました。
お時間あるときにでも、ご笑読頂ければ幸いです♪


2014年2月11日火曜日

アラジンとマチルダにみるお芝居のお国柄

今週末はついに子猿から風邪を貰ってしまいました。今年の風邪は高熱が出ると聞いていますが、本当にそう。ちび猿は、ただでさえ、すぐに40度近い熱を出すのです。でも通常は治りが早くて、一夜あければケロッとしているのですが、今回は二晩寝込みました。

ちび猿は日本語のボキャブラリーが乏しいから、その分、鋭いというか、表現がストレートです。
今回も、一番苦しんでいるときには
「痛いの、もうだめだよぉ」
と痛みに向かって泣きながら怒っていました。
そして熱がとても高いときに、突然、落ち着いた声で、
「ぼく、しむの?(死ぬの)」
と聞きます。
幼い子が苦しむ姿を見ると心のどこかでそれを恐れている、そんなはずないと思いながら、どこかで恐れている。それを言葉にされて、心臓がひと脈飛んでしまいました。
「風邪で死ぬコなんていません!」
と、自分の動揺を、叱ってごまかす母猿でした。

で、もちろんちび猿は元気になり、風邪菌、来るかな来るかなと怯えてたら、週末に、来ましたよ、律儀に。私にしては少し高めの熱が出ましたが、なんだろう、身体の節々が痛い他は、気も体力もあって、元気な風邪ひきでした。


アラビアンナイトのお芝居
今日はそんな中、解熱剤を飲みながら、兄猿のソルティーュ、学校の遠出に付き合ってきました。兄猿は日本でいう小3なので、もう外出のときに必要な保護者の人数も少なくなったため、付添するために、なんと毎回くじ引きするのです。今回も外れたらいいな、と思っていたら当っちゃったようです。でもまぁ、兄猿のクラスやクラスでの様子、新しい友達のマキシム君との様子、担任の先生のことなど、知りたかったので、行けてよかったです。これらのチェック項目は全て良好でとても安心しました。

今日のお出かけは、市の劇場にいって、「千一夜物語、ある朝アラジン」というお芝居でした。
千一夜物語のオリジナルに忠実なナレーションが入り、アラジンとお姫様、そして魔法使いなどは大きなマリオネット、時には影絵にて演じられます。
でも詳しくは説明できない……寝ちゃったのです! だって盛り上がりに欠けるし、薬飲んでるし……。一言言えるのは、きれいだった、ということ。幻想的で、且つ、中東の妖しい美しさが、光、闇、影、そして色彩によって表わされていて、宝石箱のようなお芝居でした。

以前、やはり子猿の付添で、コンセルバトワールのコンサートを聴きにいったときにも思いましたが、フランスの芸術教育は、「美しいもの」「本物」を見せる、触れる、ってことなんだな、と思います。
子供用にアレンジとかしない。
真実の芸術を見せて、それに興味を持てた子、惹かれたコだけが芸術を愛でれば宜しい、そういうスタンスなのだと思います。
私はこの姿勢がキライではありません。日本で、学校の体育館のステージに道具持ち込み、テンパっているお兄さん、お姉さんのお芝居とか観たけれど、あれが私の情操教育に役だったとは思えません。

最近の日本ではどんなお芝居を見せているのでしょう。

兄猿はぼーっとして観てたようですが、何かを感じ取ってくれてたなら御の字。またお月様にいっちゃってたなら、Tant pis! (残念でした!)


Matilda! ロングランのようです
お芝居と言えば、クリスマスにはロンドンで、子供向けの芝居を観ました。
Matildaという演目で、こちらは如何にもエンタメな感じ。インタラクティブだし、歌あり、踊りあり、笑いあり、乱暴なところもあり、と起承転結、喜怒哀楽、すべてある感じです。
少しびっくりしたのはあらすじがとてもアイロニーというか、よく考えると悲劇的だったこと。
マチルダは無責任な母親がうっかりはらんでしまって生まれたコ。お父さんも下らない人で、男の子じゃないマチルダを認めません。学校でも色々あり、担任の先生と空想の世界だけがほっとできるところ。この担任の先生は孤児で、オバサンから虐待されてたよう。すったもんだの末に、マチルダは親と決別して担任の先生と共に生きていく、ということでめでたしめでたしなのです。

昔の小公女などのお話から考えれば、そう驚くことじゃないのかもしれないけれど、マチルダの舞台が現代風なので、現実に置き換えて考えてしまってね。
親に愛されなかったマチルダは今後も心の傷を癒しながら生きていくんだろうなぁ、とか、虐待されてきた先生のトラウマはこの物語の中では一応救済されているけれど、やはり、時折思い出してはつらい思いをするんだろうなって。

こんな辛いところもある話を明るいコメディーにしちゃうロンドナーって、やっぱりすごいな、と思いました。苦しみに屈せず、必ずハッピーエンドに結び付け、時折古傷が痛んでも、勝者の顔をして生きていくんだ! そんなお国柄を感じてしまいましたよ。明るくって楽しいし、ロンドン大好きだけど、厳しいだろうな、こういう文化の中で生きていくのも。

教育的観点からいうと、とにかく完成度が高いので、フランスのとは違った意味で「本物」の芸術でした。

さてと、今週一週間が始まりましたね!
都知事選は本当に残念でしたし、こんな大切な時に投票率が低かったことが信じられないけれど、ここはマチルダ式に、振り向かず、明日を信じて頑張りましょう。

どうぞ良い一週間を~♪

2014年2月4日火曜日

居場所さがし



ラッパ水仙が店に並び始めました
この週末はぐったりとしてました。

先週末のミニ出張の疲れが今頃出たのと、「転勤があるかもしれない、それももしかしたら来年早々」という話が降って湧いたのが昨年末。それ以来、この案件が盛り上がっては沈み、そのたびに、「学校、仕事、引っ越し、ああ大変」と、きっと寝てる間も考えていたのでしょう。毎朝5時前後に目が覚めて、「そうだ、もしもに備えて、あれもやっておかなくちゃ」と、気もそぞろのこの頃でした。

それがどうやら6月ごろまでは保留となった(と夫が決めただけですが)ので、急に気が抜けたのが土曜日。理由がむかつくの。「よく考えたら春に移動は無理だよね」だって。
今頃気づかないで、ってなもんで。

気の抜けた昨日は、疲れがど~っと噴き出ましたさ。普通だったら寝ては起き、の一日だったろうに、哀しいかな、すごく活動的に過ごしてしまいました。

昨日、フランスではLa Chandeleurといってイエス様が初めて寺院に登った日を記念してクレープを食べる日でした。寺院とクレープの繋がりがイマイチはっきりしませんが、とにかくクレープ祭りなのです。

近くの教会では月1回、Pot Luckといってミサのあと、食べ物持ち寄りのピクニックを催しているようで、昨日がその日。もちろんクレープがテーマです。「まぁ、季節の風物詩だし、子供たちのためにも行ってみようか」と出かけてきました。

持ち寄りパーティの原則として、甘いもの、辛い物が偏らないように、アルファベットの真ん中くらいで区切って、前半、後半で担当を分けるのがフランス流。私は甘くないもの担当だったので、自分たち中心メニュー、「ミニ握りとつくね風ミートボール」を持っていきました。

冬の間は屋内ピクニックとのことで、ついさっきまで兄猿の日曜学校だった教室のドアを開けると、殆ど全員が白髪の年配層です。

うっすらそうかな、と思っていたから余りビックリはしませんでした。
が、何に驚いたかというと、その歓迎ぶりです。
私の知ってる年配層は、外様には割と冷たいので、覚悟してたのに、皆さん、満面の笑顔です。
そして、皆さん、年の功だけあって、社交術に長けてらっしゃるから、代わる代わる、自然な感じで話しかけてくださいます。
そして、ただのおにぎり、ミートボールなのに、「まぁ、なんて珍しい!」と召し上げってくださるし、何だかとても暖かい気持ちになりました。

神父様とも今まで個人的な会話をする機会がありませんでしたが、何と8年もワシントンDCにいらしたとか、アメリカで、いかにフランスがマイノリティーなのか、とか、一昔前にエノラゲイがDCの博物館に展示されたときにどれほど多くの人が感情的に批判したとか、そんな話を伺いました。
いままでも、いつもオープン・マインデッドな印象を持っていましたが、本当に謙虚で前向きで明るい思考の方々なんだな、と再確認できました。

とにかく、なんだろなんだろ。
迎え入れられるっていうのが、とても心地よいものだな、と思ったのです。また、私たちが若い(比較したら、ですよ)というだけの付加価値ながらも、私たちがいることで、場が明るくなる、活動的になる(子猿たちが走り回っていたからという噂もありますが)と何だか役に立っている感があったのも、すごく嬉しかったです。

もっと大げさに言うのなら、私だって、社会と交わりたい、そして社会に自分の居場所を持ちたい、実感したい。でもって、その社会にポジティブなものを還元したい。
(でも私、外国人だし、ここは個人主義のパリだし、そういう時代じゃないし。静かに隅っこにいるべきよね、いいもんいいもん、私別に平気)、
って、普段はこのカッコ内が前に出ているのですが、昨日は、カッコ内が宇宙の彼方に吸い込まれた感じでした。

そして、ふと思ったのは、こんなコッパズカシク、かつ尊大な希望って、もしかしたら殆どの人が持っているんじゃないかなって。この希望が実現できる社会、町、ご近所があったらいいな、って。

昨日のPot Luckでそんなことを考えたのです。


わが同志らよ!
Pot luckのあとは、さらに珍しい社会参加体験、デモ行進に参加してきました!
その名も、「Manif pour tous (みんなのマニフェステーション)、現政権の家族の概念崩壊的政策への抗議です。

同性愛者が養子縁組出来るように法律化した、その続きとして、今は彼らが代理母などを使っての人工的な生殖を許す動きがあり、そして、ジェンダー教育問題、中絶規制がさらに緩和された、とか、ま、要はオランド反対デモです。

静かな夫が珍しく、このデモの動きを熱心に追っているので、家族としてパパを支えるしかない、という2次的なデドコロから応援しています。

それに、事実婚していたオランドが、女優との密会が暴露され、事実婚が破局となったことを会見で発表する際、「J'ai mis fin à ma vie commune avec Valérie Trierweiler」、私はこの関係にピリオドを打った」といったそうです。
あのさー、ファーストレディ扱いまでしてた相手だったらさ、せめてJe(私)ではなく、「Nous(私たち)は関係を解消することに決めました」とか言えんかね。デリカシーゼロ。

でもね、なんだかんだいって、Bobo(ちょっと左、中流階級)の街、パリだし、多数決で選ばれた現政権だし、私みたいに変なの、変なの、って思っている方が少数派かな、と思っていたのです。私の方が奇異みたいな。
ところが、昨日のマニフには、私みたいなフツーのオバサンがいっぱいいて、買い物袋を持っているのが似合うような主婦、会社員みたいな人が、怒りというよりは、「ねぇねぇ、何ナノ今の政権」という疑問いっぱいの表情でぞろぞろ歩いていました。よくある構図のような「興奮した民!」ではないのですよ。

そこにすごーく親近感を感じて、「ああ、独りじゃないんだ」と実感。この連帯感はちょっといいもんですよ。

日本にいたときは投票すらマジメにやっていなかった私ですが、なんだろなんだろ、やっぱり社会に参画するのって正しいんだな、そして正しいことすると気持ちがいいんだな、と思ったのですよ。

気持ちはよかったのですが、体力が……家に着いた後はバタンQでした。

さて暖冬雨降りのパリも、昨日今日は真っ青な空が広がっていました。
ガリガリのおばあさんみたいに枯れきってたテッセンの枝より新芽がグングン伸びています。
どのような2月になるのでしょう。花冷えとか、あるのかな、ないといいな。

皆様、どうぞ良い一週間をお過ごしくださいね♪